オリンピック後に取得者増加?「注目の資格、スポーツファーマシスト」

東京オリンピックの開催まであと半年。こうしたオリンピックを始めとした大きなスポーツイベントで、時に話題になるのが「ドーピング」問題。有名選手の出場停止やメダルの剥奪などが、スキャンダラスに取り上げられることも少なくありません。
その一方、知識不足による「うっかりドーピング」で試合の出場チャンスを失う選手も。2003年からは国体でもドーピング検査が行われており、スポーツ活動に伴う薬物使用は、今や一握りのアスリートだけの問題ではなくなってきました。そこで注目されるのが、スポーツと薬に関する専門知識を持つ「スポーツファーマシスト」です。

スポーツファーマシストって?

スポーツファーマシストは公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構が認定する資格制度。最新のアンチ・ドーピング規則に関する知識を有する薬剤師であり、2019年4月には9,530名の方が認定を受けて活躍しています。スポーツファーマシストの役割は、以下の3つになります。

・医薬品の適正使用とアンチ・ドーピングに関する情報提供
・学校教育の場におけるアンチ・ドーピング情報を介した啓発活動
・国民体育大会に向けた選手団への情報提供

この3つの役割を具体的にスポーツの現場で実行するわけですが、いずれも「医療スタッフとしての活動」「アンチ・ドーピング活動」の掛け合わせで行うことになります。選手への医療支援や、ドーピングを抑止するための一連の検査である「ドーピングコントロール」、薬の相談、選手の海外遠征に同行して健康や栄養の管理全般を行うケースもあり、幅広い活動でスポーツ選手を支えているのです。

ドーピングの実情とは

スポーツの競技大会で成果を出すために行われてしまう、ドーピング。一体どのくらいの選手が手を染めているかご存知でしょうか。実はオリンピックで検査を行うと、何と1,000人中20~30人ほどの陽性反応が出るそうです。意図的にドーピングを行っている選手は、もちろん容易に発見されない工夫をしていると考えられますので、この陽性反応の実績以上の数が世界の実情と言われています。

日本では幸いなことに、世界との相対論としてあまりドーピングが広がっていません。しかしネット販売などでアクセスが容易になり、禁止物質が含まれる薬を入手しやすい環境になりつつあります。日本ではどちらかといえば不注意で禁止物質を利用してしまうケースが多いのですが、その原因は情報不足。アンチ・ドーピングに関する正しい知識を持つことがとても重要で、自己の限界に真摯に挑戦したいアスリートを支えるためにも、スポーツファーマシストは大きな存在なのです。

アンチドーピングの大きな流れ

スポーツファーマシストの活動はトップアスリートだけが対象ではなく、部活動を行う青少年への啓発活動や、域スポーツイベントに参加する一般の人を対象にした周知活動も行います。運動をする多くの人、とりわけ中高年以上で「薬を服用しながら運動をする人々への適切なアドバイス」などの関与も、活動の未来像として期待されています。

北海道での国体参加者へのアンケートでは「薬局で薬を購入する時はどのように買いますか?」との質問に、7割以上のアスリートが「薬剤師に相談して購入する」と答えています。多くの方が、薬剤師に相談すれば大丈夫と考えている現実。アンチ・ドーピングに関する知識は今後、すべての薬剤師に求められるのかもしれません。今回のオリンピック開催後はスポーツファーマシストの一般への周知も進み、ドーピングや運動と薬の作用について、気軽に薬局で相談する時代の到来も期待されます。ご興味のある薬剤師さまは、来るオリンピックを楽しみながら、今後の資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

【参考資料】日本アンチ・ドーピング機構
https://www.sp.playtruejapan.org/