薬価をおさえつつ、不公平な点を改善 「2020年度薬価制度改革は何が変わるの?」

4月に行われる予定の、2020年度薬価制度改革。薬の価格は、患者はもちろん医師、薬剤師、製薬業界関係者など、医療に関わる関係者にとって気になる問題です。今回は「2020年度薬価制度改革」での主な変更のポイントについて、かんたんに解説します。

製薬業界から不評だった制度を一部見直し

2018年度薬価制度抜本改革により導入された「新薬創出等加算」。指標として、新薬の収載実績や、国内における実験の回数など、“数”にフォーカスした評価基準で各企業にスコアをつけて分類していました。この方法だと、当然ですが資金や人員などのリソースが豊かな規模の大きい企業が有利になります。そのため、規模の小さい企業の取り組みが正当に評価されない仕組みであるとして、製薬業界からは見直しを求める声があがっていました。

今回の改革では完全な見直しとはなりませんでしたが、評価項目を増やすことで企業の貢献をより広く評価する方針に。従来から評価項目だった新薬収載数や実験回数については、ランキングで上位に入れば加算という形でした。しかし、今回追加された薬剤耐性菌の治療薬の収載実績や、とくに革新的な新薬の収載実績へのボーナススコアは、過去5年に1回でも実績があれば必ず加算されます。

薬価をおさえるための仕組みも

一方で、医療費を圧迫する薬価をおさえる方向の仕組みが強化された面も。「効能変化再算定」は、適応対象になる疾患が増えた場合などに薬価を見直す仕組みです。以前からその疾患治療で使われている薬理作用類似薬がより安価な場合、そちらに合わせて薬価が引き下げられます。せっかく新しい使い方が発見されても、高すぎるせいで選択肢にならないという状態では意味がない、ということでしょうか。

今まではこの「薬理作用類似薬」がない場合、薬価の見直しは行わないことになっていました。しかし今回の改定では、例え作用が違っても「効能と治療での役割が類似している薬との1日辺りの薬価の差が10倍以上」「市場規模が150憶円以上」などいくつかの要件を満たせば、特例として薬価の見直しを行うということに。患者は新しい治療薬をより選択しやすくなりますし、メーカーにとっても大きな市場を獲得できるチャンスという意味でメリットがあります。

さらに、今回の改革には長期収載品を後発品にあわせて引き下げるルールの適用前倒しも盛り込まれていて、選択肢を広げる流れに拍車がかかる見込みです。複数の薬の中から選択する機会が増えていくこれからの時代、患者に一番合った薬を見極めるプロとして、薬剤師の仕事の重要度も高まっていくのではないでしょうか。