薬局に強力なライバルが台頭中? 「処方薬宅配市場の今を知る」

スマホで通販

今や通販事業にとどまらない世界的有名企業となったAmazon。同社が2018年にアメリカのオンライン薬局「ピルパック」を買収した際には、大きな反響がありました。現在の日本では、処方せんが必要な医薬品は薬局へ出向いて受け取るのが一般的ですが、今後の法整備次第では薬の宅配サービスが普及する可能性もあります。今回は、海外における処方薬宅配市場を見てみましょう。

ただ単に届けてくれるだけのサービスではない

ピルパック、の名前は「その日その時間に飲む薬をひとつの袋にまとめてくれること」に由来します。日本の薬局でも同じようなサービスとして「一包化」がありますが、原則的に医師に相談する必要があったり保険適用にならなかったりという問題も。複数の薬をまとめて管理できるのは便利そう、と直感的に理解できますが、アメリカでは利便性という次元の話ではないのだそうです。

アメリカにおいては日本よりも処方薬を服用する人が多く、5人に1人が1日3種類以上の薬を服用しているというデータもあります。多くの薬を服用する場合、当然飲み間違いや飲み忘れが起こりやすいはず。ピルパックは処方薬だけでなく市販のビタミン剤なども扱っているため、これらもまとめてパックしてくれるというメリットもあります。さらにピルパックのみを使っていれば、注文履歴を確認するだけで過去にどんな薬を飲んでいたかが一目瞭然です。

アマゾンパワーで強化されるサービスで競合と闘う

Amazonはピルパックの現行サービスはそのままに、ドローンを使って30分以内に処方薬を届けるオプションサービスも加えようとしています。販路、知名度共に強力な武器を持つAmazonに、競合他社も黙って見ているわけではありません。手元に薬が届くまでの追跡機能を付けたサービスや、人工知能を利用した配送センターを備えた新興企業、月額固定で何度でも薬の宅配を受けられるメンバーシップを開設した薬局チェーンなど、多くの企業が処方薬宅配需要を狙っています。

薬は基本的に、若者より高齢者の方がより利用機会が多いもの。現状では、ネット注文は勝手がわからないのでやっぱり実店舗がある薬局で、という人もそれなりにいるでしょう。しかし、世代が交代していくにつれてその割合はどんどん減っていくと予想されます。だからこそ、各社は乗り遅れまいと宅配市場に参入しているのです。

実は日本でも薬を宅配するサービスはありましたが、法制度の都合で薬剤師が配達を担当する必要があったためか、2019年にサービスを終了してしまいました。もし日本でも法改正などで大手企業によるシステム化された配送サービスが可能になれば、実店舗を展開する薬局にとって強力なライバルになるのは間違いありません。今後の処方薬をめぐる情勢がどうなるのか、注目しておく必要がありそうです。