注意しているつもりでも… 「子どもによる薬の誤飲は深刻な事故」

令和元年12月に厚生労働省が公表した「2018年度:家庭用品等による小児の誤飲事故のべ報告件数」によると、トップの「たばこ」に次いで、「医薬品・医薬部外品」が子どもの誤飲事故原因の件数の2位となっています。この調査はモニター病院(皮膚科・小児科)の協力を得て行われているもので、成長過程で生じる子供の好奇心を止めることが難しい、ということがわかります。子供の医薬品誤飲は深刻な事態を引き起こすため、今一度その事例を確認しておきましょう。

どんな時に誤飲がおこりやすい?

2018年度の子供の薬誤飲事故件数は109件(17.4%)。誤飲した医薬品等の内訳をみると、家族や親族に処方されたものを誤飲していることが多く、薬がテーブルや棚の上に放置されていた等、保管を適切に行っていなかった時や保護者が目を離した隙などに多く発生する傾向にあります。

具体的には、「母親が家事をしていた時、おもちゃで遊んでいた3歳4ヶ月の男の子。薬のシートを触るような音が聞こえたので見たとこと、父親の薬を触っており、聞くと『ひとつ飲んだ』と答えた」といった例、「1歳8ヶ月 男児 症状 神経症状。フラツキ(歩くとき)。やや興奮状態。「棚の高さ40cmのところに置いた蓋つき缶ケースに父親の薬2mg 錠を入 れて保管。1歳8ヶ月の男児が薬のシートをかんでいるのに気づき、確認すると1.5Tab 錠剤がみあたらず。ふらつきや興奮状態がみられ入院」といった例がありました。

すべての小児誤飲事故のうち、重症化・入院に至った事例は薬によるものが多く、薬理作用によって重篤な健康被害が発生すること、家庭内での医薬品等の保管や管理には細心の注意を払う必要があることをあらためて周知徹底することが必要なようです。

年齢層や発生時間の傾向

誤飲事故を起こした年齢については、最も誤飲の多い「たばこ」が6か月~17か月児に多いのに対し、医薬品等については年齢層がより広く、中でも自分でフタや包装を開けて薬を取り出せるようになる1~2歳児にかけて多くみられます。医薬品は、形状や服用方法等が小児の注意を引きやすいため、つい手がのびてしまうのでしょう。事故防止のためには、この年齢の子どもがいる家庭では特に気を付けるように周知することが重要でしょう。

誤飲発生の時刻は、夕食後と思われる時間帯に高い傾向がみられています。食後指定で服用する薬を本人又は家族が使用し放置されていたものを飲む、家族が口にしたのをまねて飲むことなどが考えられるようです。医薬品等の誤飲事故は、このようにテーブルや棚の上に薬が放置されていたなど、適切に保管されていなかった場合はもちろんですが、母親が使用するカバンを開けて誤飲する例も。「誤飲対策は万全」と保護者が認識している状況でも発生しています。

誤飲事故防止のために薬局ができる手助け

誤飲事故は、大人が気を付けていても起こってしまうものです。厚生労働省は、「事故は家族が小児に注意を払っていても発生する」とした上で、「小児のいる家庭では、小児の目に付くところや手の届く範囲には、小児の口に入る大きさのものは置かないように」と呼びかけています。

シロップなど、小児が飲みやすいように味付けしてあるものは、小児が「おいしいもの」として認識し、冷蔵庫に入れておいても自ら取り出して飲んでしまい、大量に摂取するケースも珍しくありません。また、最近は甘い味のついた飲みやすい口腔内崩壊錠も多く販売されていて、錠剤をお菓子と間違えて大量に誤飲した事例なども報告されているので注意が必要です。こうした事故を防ぐためには小児が開封しにくいチャイルドレジスタンス容器の採用などの工夫も、有効でしょう。

薬剤師が、医薬品等の管理の重要性をアナウンスすることは誤飲事故防止のための大きな助けになると考えられます。子どもが容易に開封できないような薬剤の柀包を工夫するといった物理的な対応とともに、家庭内にある薬は子どもの手の届く場所に置かないなど、厳重に管理する習慣づけができるような患者さまへのアプローチを常に続けていくことが大切ではないでしょうか 。

【参考】
家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告
平成30年度(令和元年12月25日)PDF
http://www.nihs.go.jp/mhlw/chemical/katei/hospital/H30.pdf